

株式会社SYMBOL
藤澤 鉄平
CTO
2016年入社
Teppei Fujisawa
Company Plofile
世の中の「個人最適」をつくりだすELEMENTSグループにおいて、アパレル・フィットネス業界におけるサプライチェーンの革新的なデジタル化を実現するべく、3Dデータ・AI を駆使したデジタルソリューションの開発と提供を実施。
─ あくまでも、ユーザーの「購買体験」を突き詰める
2016年の創業時より、ELEMENTSグループが蓄積してきた3Dスキャニングの画像解析技術を生かし、アパレル・フィットネス業界のデジタル化を推進してきたSYMBOL。
誤差の生じやすい従来の巻き尺による手計測に代わるべく、人体の大規模3Dボディデータを収集することで、常にアパレル業界へ新しいソリューションを展開してきた。
独自の開発技術に注目が集まり、創業当初からアシックス社、ワコール社、ゴールドウィン社といったアパレル界を代表する会社との取り組みを実施している。いずれも3Dボディスキャンの導入だけでなく、ラボの設立や計測から製品制作までを一気通貫で実施する壮大なプロジェクトばかりだ。
アパレル業界のデジタル化には、絶対的な「試着ができない」という大きなハードルが立ちはだかる。
購入の即時性が低いジャンルでありながら、未だにEC化が約13%(経済産業省/2019年)に留まっている最大の原因といえるだろう。
藤澤は「『試着』のハードルを越えられれば、アパレルは確実にECの方が利便性が良い。店舗では一度に試着を出来る数に制限があるけど、デジタルでは数の制限もなければ、そもそも脱衣をする必要もない。シンプルにユーザーの選択肢は広がる」と明言するが、同時に従来の購買プロセスに染み付いた「試着」というリアルな体験の重さも痛感している。「洋服選びも一種のエンターテインメントだと思うんです。着た時、買う時のワクワクをちゃんと大切にしたい」と語るように、単なるデジタル化を推進するのではなく、あくまでもユーザー目線の「体験」を突き詰めることにこだわる。デジタル空間での勝負において、リアルでの体験を超えられないと、結局はリアル(店頭)に戻ってしまう。最大のライバルはこれまでのユーザーの購買体験そのものだ。だからこそ、徹底的にユーザーに寄り添った開発を常に心掛ける。
─ S・M・Lの分類はいらない。14億着の「未着廃棄問題」に立ち向かう
新品の洋服が1度も着られることなく廃棄となる「未着廃棄」は日本国内だけでも、52%もあり、年間で約14億着以上が捨てられている(経済産業省)。「大量生産・大量消費」の背景には大量廃棄が伴うが、工業製品の話ではなく、編み物である洋服において、この数字は衝撃的だ。
この大きな問題に対してSYMBOLは個人最適をつくりだすELEMENTSグループの一員として、アパレル業界におけるこれまでの常識を覆す、1人ひとりの「パーソナライズ化」をテーマに掲げ、立ち向かう。
既存製品に合わせた全体最適だけを目的とした機械学習を重ねてしまうと、最終的なゴールが現在の大量生産を前提とした「S・M・L」を選ばせる世界に留まってしまい、根本的な原因の解決に繋がらない。そこで、全体最適ではなく、1人ひとりをパーソナライズ化することで、「あなただけの1着」を生産する個人最適な世界を目指す。藤澤の描くゴールは「大量生産・大量消費を前提とした『S・M・L』の分類がなく、1着も廃棄を出さないサスティナブルな世界をつくること」だ。
2020年からは三菱商事ファッション社と「THE ME」のサービスを開始。「量産を前提とした作り方はしない。一人一人に合わせる。」がコンセプトのC2M型(完全受注生産型)のアパレルブランドだ。まさに藤澤の描く世界を具現化し、SYMBOLとして立ち向かう社会課題を解決するためのきっかけとなる、プロジェクトとなっている。
─ 「ボディと素材のプラットフォーム」がインフラになる未来
自分にとっての理想の服とは?そもそも、自分の身体の具体的な特徴とは?
誰もがこの質問に明確に答えることは難しい。洋服が「S・M・L」だけでは分類できないように、人体も身長、体重、肩幅、胸の厚さなどの単なるサイズだけでは不明確なことが多い。洋服も同様に素材感、ふわっと感、ぼたっと感、といった、いずれも言葉にすることが難しい感覚の中で世界が動いている。故にアパレル業界の最大のテーマである「しっくりこない」が生まれてしまうのだ。
SYMBOL は身体の3Dスキャンニングに留まらず、洋服素材のシミュレーションを行う技術も有する。将来的には個人の身体における詳細データが集約された「ボディのプラットフォーム」と洋服素材の物質特性が集約された「素材のプラットフォーム」をつくり、パーソナライズ化された個人最適な世界を実現することで、「しっくりこない」を具体的に解決できると確信している。
例えば、詳細の体型の診断に加えて、筋肉の動きや関節の可動域などの詳細データまでを取得することで、試着における「似合うかどうか」の判断だけでなく、個人の好みや世の中のトレンドを踏まえた着用後の未来までを予測することが可能になる。まさに、現在のリアルでの「試着」を超える体験と選択肢を提供することが出来るのだ。
この壮大な構想に対して、藤澤は「凄い未来にみえるけど、アナログの世界では既に個人の深い知見がある。なので、これからはデジタルに繋げるために、テクノロジーの力でアパレル業界を支援したい」と意気込む。だからこそ、チームにはエンジニアに加えて、アパレル業界に精通した専門家もジョインしており、テクノロジーだけでなく、本当の美しいを研究するアパレル領域からのアプローチも行っている。
今すぐに日本中に 3D スキャナーを設置することは難しいかもしれないが、既に都市部を中心に設置が進んでいる。今後もスキャナーをもっと身近なものにするべく、筐体のコスト削減にも努めている。
「試着」の機会が増加すれば、それはそのままアパレル業界全体の活性化とユーザーの選択肢が広がることに直結する。「ボディと素材のプラットフォーム」がインフラとなる未来を現実的に見据えた藤澤の取り組みはさらに加速を増す。
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